子どもは中耳炎をはじめとした耳鼻関係のトラブルが多いですが、耳管開放症という病気にもかかることがあります。
この耳管開放症は、大人の感覚で言うと、耳がふさがった感じがする、自分の声が耳に大きく響くなど自覚症状で気付く方が多いですが、子どもは上手く伝えることが難しく見逃されることが多いです。
子どもがもし訴えたとしても「ママ、なんか耳がおかしい~」くらいですよね。
でも実はこの耳管開放症は、放っておくと、命に関わることもある危険な病気なんです!
そのため、親が早期発見することがポイントになってきます。
そこで、今回は耳管開放症の原因や症状、悪化させないようなポイントについてご紹介していきたいと思います。
耳管開放症とは?

耳と鼻やのどをつないでいる管を「耳管(じかん)」と言い、この器官は気圧の調整を行う役割があります。
通常、耳管は閉じているんですが、つばを飲み込んだり、あくびをした時などに開きます。
飛行機に乗ったりエレベーターで高いところにあがると、気圧が変わるために、耳が詰まったというか、ふさがってるような感じになることがありますよね。
その時につばを飲み込んだりあくびをすることで、耳管が開き、気圧の調整ができるようになります。
しかし、「耳管開放症」では、その耳管が少し開き気味のままになります。
ただ、その開き気味の症状がいつも出ているとは限らず、耳管が閉じている時もあります。
そのため、常に開きっぱなしの重症の状態になってからでないと、なかなか診断されないことが多いようです。
耳管開放症の原因は?

耳管開放症の原因は、実ははっきりしたことがわかっていません。
しかし様々な原因で、子どももそうですが、ちょっとしたきっかけで誰もが発症する可能性があることがわかってきたようです。
その原因をいくつかご紹介していきますね。
急激な体重の減少
急激な体重が落ちることによって、耳管の周りを取り囲んでいる小さな脂肪組織が少なくなります。
そのことによって、耳管がゆるんで開きやすくなってしまうようです。
大人で言えばダイエットをした時などが要注意ですが、子どもの場合は風邪をひいたり、夏バテしたりという時に食欲不振で体重が減ることがあります。
食欲がない、嘔吐・下痢をしているなどの時は、その治療をすることはもちろんですが、子どもの体重を定期的に測り減り続けることがないかどうか確認してあげるようにしましょう。
全般的な体調不良

脱水や睡眠不足、栄養不足、冷えなどの血行不良により、耳管周りの血液の流れまで悪くなります。それが原因で、耳管がゆるみやすくなってしまうようです。
子どもは小さければ小さいほど、からだの中の水分の割合が多く変動しやすいことや、腎臓の機能もまだ未熟なため、大人よりも血行不良になりやすいと言われています。
発熱、嘔吐・下痢、暑い日に外で遊んだときなどには、水分・栄養のバランスに注意してあげてくださいね。
ストレス
子どもは体調不良だけでなく、精神的にも未成熟なので、主に家族や友達の人間関係でストレスを感じやすくなります。
ストレスを多く感じていると、自律神経系が乱れたり、血行が悪くなりますので、それが原因で耳管がゆるみやすくなってしまうというわけです。
中耳炎

中耳炎は、鼓膜の奥に炎症を起こしますが、粘膜にも炎症を起こしている状態です。
中耳炎の治療によりその炎症も改善しますが、粘膜の改善が不十分で耳管が開きっぱなしになることがあるそうです。
子どもは中耳炎にかかることが多いので、中耳炎にかかった、中耳炎を繰り返しているときには注意が必要ですね。
耳管開放症の症状は?
耳管が開いたままの状態になる耳管開放症とは、特徴的な症状が現れます。
その主な症状についてご紹介していきます。
①耳閉感
耳がボーっとしたり、耳が詰まった感じがします。中耳炎などでも見られる症状で、耳管が開いているのに塞がった感じがします。
ただ、子どもの自覚症状は難しいかも…。
②自分の声が響く、自分の声が大きく聞こえる
自分の声が耳の中で響いて聞こえる症状を「自声強聴」と言います。
この症状も中耳炎などでも見られる症状で、この自声強聴はかなり苦痛が強いものです。
相手の話す内容が聞こえにくくなったり、自分自身が話しにくくなったりして、普段のような会話がしにくくなります。
この症状の場合は、「耳が変~~💦」と、子どもが教えてくれそうですね。
③前かがみになったり横になると症状が軽くなる
おじぎをして頭を下に向ける、横になる、入浴中など、開いた耳管が閉じるような行動をとると症状が軽減するという特徴があります。
この他にも、自分の呼吸音(鼻呼吸)が耳に響く、頭痛、肩こり、鼻声、鼻づまり、聴力低下など、現れる症状は多種多様です。
フワフワしためまいや低い音が聞き取りにくい、音程がずれて聞こえる、自分の出している音の大きさがわからないという症状が出ることもあります。
しかし、子どもは症状を上手く伝えることができず、様々な症状や行動でSOSのサインを出しています。
普段から子どものことをよく見て、そのSOSのサインを見逃さないことが大切。
特に、「ママ、耳が変なの」と言ってきたときは、要注意ですね。
耳管開放症を悪化させないように気を付けるべきことは?
耳管開放症は、基本的には自然治癒で治す方法が多いようです。
症状をできる限り悪化させず、自然治癒するポイントをご紹介していきたいと思います。
①血行改善
耳の周りをマッサージしたり耳の周りを温めることにより、血液の流れを良くすると自然治癒を期待できるようです。
前かがみになったり横になると症状が軽くなるというのは、頭を下げることによって耳管の周りの血液の流れが良くなり、耳管が閉じやすくなるためです。
また、横になるときには、仰向けで寝るより横向きで寝たほうが耳管が閉じやすくできると言われています。
子どもは寝相が悪いので、横向きに寝ることは難しいですが、そんな時は抱き枕などを活用してみてください。
②水分補給
水分を多くとることにより、耳管が閉じやすくなることも。
子どもが自ら水分補給をすることは難しいので、大人が注意して対応してあげることが必要です。
こまめに「お水を飲もうか」と声をかけてあげてくださいね。
何をしても水分がとれない、尿の出が少ない、顔色が悪い、ぐったりしてきた場合などには、早めに受診するようにしてください。
③リラックス

耳管開放症の原因の1つにストレスがありますが、その原因で近年発症する人がとても多くなってきていると言われています。
子ども一人では、原因を取り除くことやストレスを解消させることも難しいので、ストレスを発散させるには大人の助けが必要です。
ストレスは様々ですが、できる限り子どもがリラックスした状態で過ごせるように考えてあげてくださいね。
一緒にラジオ体操をしたり、深呼吸をしたり、マッサージをしてあげたり…そういったことで、子どもの緊張感も緩んで、リラックスすることができますよ。
鼻すすりに注意!!
鼻をすすることによって一時的に耳管が閉じて症状を軽くすることができるようですが、このことが命に関わる大きな病気につながる可能性もあります。
耳管開放症の特徴的な症状として、大きな耳垢がとれることが知られています。
その大きな耳垢が耳の中で炎症を起こしてしまう可能性があり、滲出性(しんしゅつせい)中耳炎や真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎の引き金となります。
さらにこの炎症が悪化していくと、除々に聞こえづらくなり、突然耳が聞こえなくなることもあるようです。
また、脳と耳との間には骨があり、その骨をも耳垢が溶かしてしまい命の危険が及ぶこともあります。
子どもは症状を上手く伝えることができない上に、無意識に鼻をすすってしまっていることもあります。
周りの大人が、子どもが出すサインを見逃さないことが重要になってきます。
少しでも気になることがあれば、早めに小児科または耳鼻科に相談しましょう。
また、普段から以下のような道具で鼻をかむ練習もしてみてくださいね。
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子どもの耳管開放症のまとめ
耳管開放症は、もしかかってしまっても適切な対処をすれば軽度ですむ病気と言われています。
まずは気になることがあれば医師に相談し、適切な治療をすることが大切になってきます。
子どもがどうしてかかってしまったのかを考え、その原因を取り除けるような対策を行いましょう。
大人が子どもの表情や行動に目を配り、子どもが笑顔で過ごせるようにサポートしてあげてください。
★この記事を書いた人:N★
看護師資格と経験あり。妊娠のため育休中。


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