滲出性中耳炎とは聞きなれない言葉ですよね。
簡単に説明すると、急性中耳炎や風邪などが原因で、耳の奥に液体がたまってしまう病気です。
子どもがかかることが多い病気の一つですが、治療せずに放置しておくと、難聴になることもある怖い病気です。
でも、急性中耳炎と異なり、痛みもないことが多く、中耳炎なのかわからない…
と受診をすることを悩むという方も多いと思います。
そこで、今回は滲出性中耳炎の特徴的な症状や治療法、注意点などをご紹介していきたいと思います。
看護師からのアドバイスもありますので、ぜひ参考にしてくださいね。
滲出(しんしゅつ)性中耳炎とは??

滲出性中耳炎とは、扁桃炎や中耳炎、アレルギー性鼻炎など、のどや耳、鼻に炎症が起こる病気のあとになりやすいと言われています。
炎症により耳と鼻やのどをつないでいる耳管が詰まった状態になると、粘膜の血管から液が滲み出して鼓膜の内側の中耳にたまります。
これが、滲出性中耳炎で、たまった液によって鼓膜の振動が鈍った状態になり、音が伝わりにくくなる病気です。
滲出性中耳炎は6~7歳までの子どもに多いとされてきましたが、最近では0~3歳の子どもに多いとも言われています。
0~3歳の子どもは、自分で不調を訴えることができずに見逃されることが多かった影響もあるようです。
滲出(しんしゅつ)性中耳炎はなぜ痛くないの?
急性中耳炎の特徴は発熱や激しい痛みなどがありますが、滲出性中耳炎では発熱や痛みはほとんどありません。なぜ滲出性中耳炎では発熱や痛みが見られないのでしょうか。
それは、急性中耳炎はウイルスや細菌が原因で起こるのに対し、滲出性中耳炎はウイルスや細菌を含まない液体がたまることによって起こるためです。
滲出性中耳炎の炎症は弱いので、発熱や痛みを伴うことはほとんどないと言われているんですね。
滲出(しんしゅつ)性中耳炎の症状について
滲出性中耳炎の主な症状は難聴ですが、痛みを伴わないことが多いため、子どもが自分から症状を訴えることはほとんどありません。
そのため、周りの大人が滲出性中耳炎のサインに気付くことが大切です。
子どもが出す以下のようなサインに注意してみてくださいね。
①難聴の可能性
- テレビの音を大きくする
- いつも声が大きい
- 呼んでも返事をしないことが多い
- 何度も聞き返す
難聴を確かめるときは、右と左から声をかけ、それぞれの耳の聞こえを調べてみてください。
そのほかにも、子どもが急に不活発になり、いつもぼんやりしていることもあるようです。
②耳の閉塞感
- 耳をよく触ったり、引っ張る
- しきりに耳を気にする
耳に液体がたまることによって詰まった感じがあります。
詰まった感じを訴えることはできなくても、不快感を上記のような行動で示してくれることもあります。
子どもにこのような症状があるときには、早めに小児科または耳鼻科にかかることをおすすめします。
滲出(しんしゅつ)性中耳炎の治療法について
次に、滲出性中耳炎の主な治療法についていくつかご紹介していきます。
滲出性中耳炎はの治療は、鼓膜の内側に溜まった液体を完全に出すことが目的になります。
①鼓膜切開術
基本的な治療法で、鼓膜を切開して中耳のたまった液体を抜き取ります。
この場合、鼓膜に小さな穴が残りますが、数日すれば自然にふさがります。
切開するとなると多くの人が驚きますが、局所麻酔でほとんど痛みはありませんし、切開したことで聴力が落ちることもありませんので心配しなくて大丈夫ですよ。
②換気チューブ留置術
鼓膜切開術を繰り返しても液体がたまる場合は、鼓膜切開後に小さなチューブを留置します。
チューブを通してたまった液体を耳の外へ出したり、チューブから常に中耳に空気を送り、たまった液体が耳管からのどへ排出されるようにします。
この治療は半年~1年、長い場合は2年ほどチューブを留置します。
液体がたまりにくくなったらチューブを抜きますが、自然に外れてくることもあります。
鼓膜にあいた小さな穴は、自然にふさがりますので心配しなくて大丈夫ですよ。
③耳管通気
症状が軽度の場合は、鼻から空気を入れ、耳管を通して中耳に送りこみ溜まった液体の排出を促します。
鼻通りを良くすることで、液体が抜けていく道を開けやすくするということです。
週に少なくとも1~2回、液体の量によっては完治まで2~3ヶ月かかることもあります。
完治と診断されるまで根気よく通院する必要があります。

④抗生物質などの投薬
滲出性中耳炎は耳の治療だけでは治りません。
急性中耳炎の原因である病気を治さないことには、再発を繰り返すため必要に応じて抗菌剤を服用することもあります。
しかし、抗菌剤の乱用のために滲出性中耳炎が増えているという研究もあり、やたらに薬を使わないことが多いようです。
また滲出性中耳炎はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎との合併症の可能性があると言われています。
その治療のためにアレルギーを抑える薬を服用することもあります。
⑤自然治癒の可能性
滲出性中耳炎は痛みがほとんどなく、子どもの苦痛がなければ積極的な治療はせず自然治癒をすすめる病院が増えているようです。
ただ、自然治癒とは、受診せずに放置するという意味ではありませんので、ご注意くださいね。
そのまま放置ですと、難聴になるリスクもあるので、病院に通院し診察を受けながら様子を見るということです。
また、自然治癒で治すには、規則正しい生活、栄養バランスの整った食事、適度な運動や十分な睡眠などで免疫力を保つことも大切です。
滲出(しんしゅつ)性中耳炎になったときの注意点

病院に定期的に通うことで適切な治療を受けることができますが、日常生活ではどのようなことに注意すればよいでしょうか。
いくつか紹介していきますね。
①鼻の通りをよくしておく
急性中耳炎を何度も繰り返し滲出性中耳炎を引き起こすことが多いので、鼻水を溜まったままにしないということが大切です。
鼻をかむときは片方ずつそっと軽く、回数を多くするように教えてください。鼻をかむことができない場合は、市販の鼻水吸引機を利用するといいでしょう。
また、本人の鼻をかむ練習で、以下のような道具もおすすめです。
|
②耳に水が入らないように注意する
耳の状態にもよりますが、水遊びするくらいなら問題はありません。
治療で鼓膜切開した直後や鼓膜にチューブを入れている場合は、耳に水が入らないように注意しなければなりません。
水泳はできれば避けた方がよいでしょう。
入浴や水泳については、主治医に確認することをおすすめします。
③健康管理
中耳炎だけではないですが、規則正しい生活が大切です。
乳児ではできるだけ母乳を与える、食物の好き嫌いをなくし、栄養のバランスに気をつけてあげます。
また、適度な運動や十分な睡眠などで免疫力を保つよう心がけてあげましょう。
真珠腫性中耳炎に注意!
滲出性中耳炎が重症化すると、鼓膜の一部が中耳に入り込み、白い塊(真珠腫)ができる真珠腫性中耳炎を起こすことがあります。
真珠腫が大きくなると、中耳の骨が溶けてめまいがしたり、骨に通っている顔面神経がはたらかず顔面神経麻痺を起こすこともあるようです。
その炎症が脳まで達することで、髄膜炎を起こすこともある危険な病気です。治療期間が長期間となる病気ですが、重症化させないためにも治療を勝手にやめず、完全に治るまで通院しましょう。

子どもの滲出性中耳炎のまとめ
滲出性中耳炎は自然治癒することが多いとされていますが、一方難聴から言語発達の遅れや学習上の障害を引き起こす可能性もあります。
しかし、自覚症状を感じないことが多く、症状を訴えることができない子どもに関しては発見が遅れるケースも多いようです。
子どものちょっとした変化を見つけて、落ち着いて早め早めに対応してくださいね。
★この記事を書いた人:N★
看護師資格と経験あり。妊娠のため育休中。


妊活中の注目記事

妊婦さんが気になる記事
注目記事:第1位
ほとんどの妊婦さんが葉酸サプリの選び方を間違えてる可能性が!?
産後のママさんが気になる記事
注目記事:第1位!
赤ちゃんがひどい乳児湿疹になったらどうしたらいいの…??

育児中のママさんが気になる記事
